« 2022年5月 | トップページ | 2022年8月 »

2022年6月

2022年6月 4日 (土)

午睡

 朝、2時半に起きて釣りに行った。最近、ブリが上がっているという話を聞き、知り合いも釣ったということだったので、用意をして出掛けた。今の時期は夜明けが早く、4時くらいから東の空が明るくなってくる。釣り場まで1時間ほどかかるので、2時半くらいに家を出ないと朝マヅメに間に合わないと思ったのだった。

 釣り場は空いていた。一番いい場所は先行者がいたが、いい思いを何度もして、気に入っている場所に入ることができた。

 タックルケースを開いて、あ、と思った。ヘッドライトを忘れてきたのだ。いつも使っているのはUSB充電式の、帽子のつばに取り付けるタイプのLEDのものなのだが、それを充電しようと出してしまい忘れていたのだった。仕方がないので、スマホの簡易ライトを点けて仕掛けを作る。とてもやりにくい。

 東の空が明るくなりかけたので、投げてみた。一投目から根掛かりをした。なかなか外れない。仕方がないので強引に仕掛けを引っ張った。リーダーの部分から先が切れて戻ってきた。新品のシンキング・ペンシルをなくしてしまった。スマホのライトを点けて、リーダーを組み、別のルアーを付けてふと東の空を見ると、真っ赤に朝焼けをしていた。血のような、不気味な色だった。カメラを取り出して何枚か写真を撮る。

 海は静かだ。秋の海は大抵この時間帯からざわざわとしはじめ、小魚が逃げ惑う姿が見られたりするのだが、明るくなって眺めていても小魚は悠々と泳いでいる。時々、私の投げたルアーに小魚が驚いて飛んだりしているけれど、海面は何ごともないように平穏だ。やがて潮があまり動かなくなって、鯔が飛んだりしはじめた。

 一瞬、目の前で小魚の群れが逃げ惑うことがあって、やっと青物が入ってきたか、と思って期待してルアーを投げるが、何の反応もない。よく見てみると、細い魚が小魚の後を追って飛んでいる。ダツだろう。

 陽が昇ると、暑くなってきた。7時を過ぎたくらいからもう帰ろうかと思い始める。でも、回遊があった時間帯は8時前くらいだったと聞いていたので、なかなか帰る踏ん切りがつかない。リールを巻く左手がだんだんとだるくなってきた。4時間近くキャストを繰り返している。自分が年と共に体力が落ちてきているのを痛感する。

 結局、8時まで何も起こらず、帰ることにした。あまり釣れることがないのか、青物を狙っている人は私の他は2人だけだった。

 また、車に乗って今度は実家に向かう。ひどく疲れてしまった。

 実家に着いて、裏庭の木、母が死ぬ数年前に植えたプラムの大きな枝が折れていたので、それをチェーンソーで切る。畑の草刈りをしようかと思って準備をしかけるが、疲労感がひどい。野菜の間の草むしりを少しだけして、家に戻って横になった。20分ほどうとうとして、目が覚めた。少し用事があったので、それだけ済ませて、昼前に帰ることにした。

 車の中で髪が酷く伸びたのが気になり始め、帰りに散髪屋に寄った。散髪屋は土曜日なので混んでいて、1時間ほど待った。髭を昨日、剃っていなかったので、散髪屋の人が綺麗に剃ってくれて、ひどくさっぱりした。

 家に帰って道具を水洗いして、遅い昼食を摂り、横になった。何か古典でも読もうかと思って「枕草子」を本棚から取る。古典を読み始めると、すぐに眠くなる。

 本を開けたまま、知らぬ内に眠っていた。昔、実家で飼っていた柴犬の夢を見た。最後は白内障になって目やにだらけで、よぼよぼの老犬になっていた。老犬だったが、母が寝たきりになる前、体が思うように動かず、洗濯物を干そうとして転倒し、骨折して物干しの下で動けなくなった時、ずっと吠え続けて父に知らせた。母が寝たきりになって、父がその介護をしていた頃から、だんだんとやせ細って背骨が曲がり、立っているのがやっと、という状態だった。死ぬ前の夜、悲しそうな声でずっと鳴いていたと父が言っていた。その犬が死に、1年も経たないうちに母が死に、その3ヶ月後に父が死んだ。

 夢の中で、その老犬は私が近寄るととぼとぼと近寄ってきて、手の臭いをかぎ、てのひらを舐めた。目は白内障で真っ白だった。臭いだけで知っている人かどうか区別しているんだろうな、と思った。若い犬だった頃は、知らない人には容赦なく吠えた犬だった。はて、この犬は何歳だったかな、と思っていると、母が、小さな私の娘の手を引いて、笑いながら歩いてきた。太った、元気な頃の母だった。母に「この犬はいつから飼っていたっけ?」と尋ねると、母は何か答えた。小さな娘は、犬の頭を撫でていた。娘は、この犬をかわいがっていた。

 目が覚めた。5時半になっていた。2時間ほど午睡をしていたのだった。午睡の夢は、やけにはっきりしていて、そして悲しい夢が多いような気がする。

20220604

Panasonic TX-1

« 2022年5月 | トップページ | 2022年8月 »

無料ブログはココログ